ああコンフィグレーション
生活その他

入院の記憶

退院してすでに1年半が過ぎた。直腸がんだった。 異常を感じ始めたのは、その3年ほど前。 血便があると言われていて、その度に検査したが、わからなかった。

最後に検査した時、たまたま出口付近で、スコープが止まった。画像にはまるで火山みたいなものが映っていた。 多分出口付近だったので、検査装置の出し入れで気が付かなかったと思う。

入院は2度。最初の入院で患部の切除と、袋で排便するためのバイパス手術。 半年後にバイパスを戻す手術。すべて腹腔鏡手術。 この病院の技術は素晴らしい。どこぞでニュースになっているところとは違う。

仕事も抱えていたので、パソコンは必須だった。ネットワークが充実していた事が幸い。

グロテスクで恐縮。これが袋に排便するための手段。大腸の一部をそのまま表に引き出して、切る。だから左右のどちらかが肛門へ、もう片方が小腸につながっている。これを先生は”ループで引き出している”と言っていた。

袋は上の大腸にかぶせるようにシールみたいなもので止めるのだが、このあたりの技術もすごく進歩していて、インターネットでも様々なアイテムや消耗品が売られている。一生このままだと、障がい者認定されるらしい。

私は写真の構成が気に入っていた。上が袋で、袋の右側が便を棄てる口。写真の下が皮膚に貼り付ける盤。この盤をはさみで人工肛門の形に切る。そしてシールを剥ぎ、貼り付けるのだが、様々な薬を付けて人工肛門が壊れないようにする。結構滲みたりもするし、血が出たこともあった。ある意味では便が楽だとも言えて、たった半年だったが座ってりきむ事も無いのですよね。でも、皮膚を正常に保つ事が至難の技で、便は大腸内では何もないですが、表の皮膚に触れると、塩酸をかけられたようになるんですね。なので赤くなって、いずれ血が出る。そうすると、貼り付けが困難になる。で悪循環というわけです。

そうだなぁ。月に1万円以上は、この部分にかかった。それに この事が憂鬱で、たぶん精神的にやられる人も多いと思う。自分の場合、ズボンもウエストが5センチ以上大きなものを使い、ベルトではなく、サスペンダー。自然と袋をかばうようになります。ちゃんとおならもでます。でも人工肛門なので、自分のもののように加減ができません。なので、会議なんかでピーとかいうと恥ずかしいですね。

接着部が緩んで、漏れ出すトラブルは多かった。袋の先は便を捨てられるようになっていて、たまにこの部分を閉め忘れて。 大騒ぎをした。

たった半年だったが貴重な経験だね。

病室から見えた風景